親の家を相続したけれど、「売るか残すか」で気持ちが揺れていませんか?維持費・税金・感情の整理まで、判断軸をわかりやすく解説します。目次を見て必要なところから読んでみてください。

親が住んでいた家を「売るか残すか」で迷う背景と判断軸の整理

「親が亡くなって実家を相続したけれど、売るべきか残すべきか、正直よく分からない」
そんなふうに、気持ちが揺れている方は少なくありません。思い出の詰まった家である一方、現実的な維持費や税金も気になるところですよね。
この章では、「売るか残すか」の判断を下すために整理すべき視点を、実際の相談現場でよくあるケースとともにお伝えします。

判断に影響する主な要因:維持コスト・税負担・居住ニーズ

「相続した家の将来、どうしたらいいのか」
その判断を難しくしているのは、いくつかの現実的な要素が絡んでいるからです。

維持コストの問題
家をそのまま残すと、毎年かかってくるのが固定資産税修繕費です。空き家のままにしておくと、雨漏りやカビ、害虫被害なども発生しやすく、結果的に大きな修繕費用がかかることも。

税金の負担
不動産を売却する場合は、譲渡所得税(利益が出た場合に課される税)や手続きに伴う費用が発生します。一方で、残すにしても固定資産税や都市計画税などのランニングコストがかかり続けます。

今後住む予定があるかどうか
「自分や子どもが将来住むかも」「二拠点生活に使えるかも」などの希望があれば残す選択肢もあります。ただし、具体的な予定がないまま残すと管理負担が続くため、冷静な見極めが必要です。

以下は、主な判断要素を整理した表です。

判断軸売却を検討する場合維持を検討する場合
維持コスト不要継続的に発生(年間数万〜十数万円)
税金負担譲渡所得税あり(特例活用で軽減可)固定資産税・都市計画税あり
活用見込み特になし将来居住や賃貸の可能性あり
家の状態老朽化が進んでいる比較的新しく、修繕が少ない

大切なのは、「感情」ではなく「将来の計画」と照らして判断することです。

心理的な側面と思い出の価値をどう扱うか

「やっぱり、思い出があるから簡単には手放せない」
この感情、痛いほど分かります。
実際、めーぷる岡山中央店にご相談いただく方の多くが、「気持ちの整理がつかない」とおっしゃいます

けれど、私たちがよくお伝えするのは、「家を手放すこと=思い出を消すことではない」ということ。

✅ 写真や動画で記録を残す
✅ 家族で一度集まって思い出を共有する
✅ 記念品や家具を一部だけ残す

そんな「思い出を残す方法」を取り入れながら、物件としての扱いを考えることもできます。

また、家を残すことで、将来的に兄弟間のトラブルになるケースも少なくありません。感情に寄り添いつつも、冷静に整理しておくことが大切です。

感情的なひっかかりを否定せず、どう折り合いをつけるか
これが、スムーズな判断のための第一歩です。


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維持するメリット・デメリットを整理する

「売る決断がつかないから、とりあえず維持しておこう」
そう考える方も多いのですが、“維持する”にもそれなりの責任と費用が伴います
この章では、親の家を残す場合に押さえておくべき「コスト」「将来性」「感情面」の3つの観点から、メリットとデメリットを冷静に見つめるヒントをお伝えします。

維持費・固定資産税・修繕費などの「コスト面」

空き家でも、家は維持し続ける限り、定期的な出費が発生します。以下は、一般的な維持コストの一例です。

費目内容年間の目安費用
固定資産税・都市計画税所有しているだけで毎年課税5万〜20万円前後(地域・評価額による)
修繕・メンテナンス雨漏り・カビ対策、害虫駆除など数万円〜必要に応じて高額に
庭木の手入れ・草刈り放置すると近隣トラブルの原因にも年2〜3万円〜(業者委託)
火災保険・地震保険万一に備えて加入が望ましい数千円〜数万円

✅ これらの費用は、住んでいなくても発生する“固定コスト”です。

また、空き家を放置して劣化が進むと、後に売却したいときに「資産価値が著しく下がってしまう」というリスクもあります。
維持する選択をするなら、“手入れができる体制”が整っているかどうかも要確認です。

将来的ニーズや貸し出し活用などの「長期的視点」

維持にはコストがかかる一方で、「将来的な活用」が見込める場合は、残す判断が有効になることもあります。

✅ 将来自分が住む可能性がある
✅ 子や孫が住む予定がある
✅ 賃貸として貸し出す、民泊やセカンドハウスに使う

たとえば、駅から近い・土地の形が良い・周辺に大学や病院があるなどの立地条件によっては、賃貸活用できる可能性も。
ただし、賃貸に出すにはリフォーム費用や賃貸管理の手間がかかる点も押さえておきましょう。

また、将来的に売却するにしても、定期的に手入れしておくことで資産価値を保ちやすくなります

「今は使わないけれど、将来に向けて可能性がある」
そんな視点があれば、維持を選ぶことに十分な意味があります。

感情的価値と家族間の思い出との関係性

「母が最後まで暮らしていた家だから、壊したくない」
「小さい頃の思い出が詰まっているから、どうしても手放せない」

こうした感情が判断を迷わせる背景にあること、私たちも日々のご相談で感じています。

✅ 家は「建物」だけでなく、「記憶」も含まれている
✅ 家族の歴史が染み込んでいるからこそ、感情の整理が難しい

一方で、感情だけで残す判断をすると、他の家族との温度差や負担感のズレがトラブルになることもあります

たとえば、兄弟のうち一人だけが維持費を払っている、遠方に住んでいて管理が難しい…といった状況ですれ違いが起きやすいのです。

だからこそ、感情的な価値を否定せずに、「どう残すか」「どう分担するか」まで家族で話し合うことが大切です。

心の整理と現実的な管理体制は、セットで考えておきましょう。


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売却するメリット・デメリットを理解する

「もう誰も住む予定はないし、空き家のまま置いておくのも不安…」
そんな方にとって、売却という選択は現実的で前向きな一手になります。
この章では、不動産を売却することの“実際のメリットとデメリット”を、金銭面・手続き面から整理してお伝えします。

流動性の確保:まとまった現金化のメリット

売却の最大の利点は、まとまった現金を得られることです。
特に、相続人が複数いる場合、現金化することで公平に分けやすくなるというメリットがあります。

✅ 生活資金や老後資金に充てる
✅ 遺産分割トラブルを避けやすい
✅ 相続税の納税資金に充てられる場合も

不動産は「持っているだけでは使えない資産(=流動性が低い)」です。
使う予定がない場合は、早めに売却して資産の見える化をすることで、将来的な不安も軽くなることがあります。

ただし、「売れるかどうか」は立地や建物の状態によって異なります。
売却を検討する際は、複数の不動産会社に相談して相場を把握することから始めましょう。

不動産売却時の譲渡所得税や仲介手数料などの「税金・費用面」

売却にはさまざまな費用や税金がかかる点も、しっかり押さえておきましょう。

費用項目内容一般的な目安
仲介手数料不動産会社への報酬売却価格の3%+6万円(税別)程度
譲渡所得税売却益にかかる税金所得税+住民税(※特例適用で軽減可能)
登記費用名義変更や登記の抹消数万円程度
測量・解体費用土地のみで売る場合や古屋付き土地状況により異なる(数十万円〜)

✅ 特に注意が必要なのが、譲渡所得税(売却益に対する税金)です。
ただし、「相続空き家の3,000万円特別控除」などの特例
を使えば、大幅に税負担を減らせることもあります。

税制は毎年見直されるため、売却前には税理士や専門家に確認することが大切です。

売却に伴う手間・手続きの負荷

「売る」となると、気になるのが手間や精神的負担ですよね。
たとえば、こんなステップが必要になります。

  • 不動産会社とのやりとり(査定・媒介契約)
  • 内見対応や掃除・片付け
  • 売買契約の締結・引き渡し
  • 税務申告(譲渡所得の申告)

また、相続登記が終わっていない場合は先に済ませる必要があります
書類の準備や、兄弟姉妹との意見調整に時間がかかることも。

✅ 一方で、信頼できる不動産会社と連携すれば、多くの手続きは代行やサポートを受けることができます

「全部一人で抱える必要はありません」
私たち“めーぷる岡山中央店”でも、地元での信頼ある不動産会社と連携し、安心できる売却サポートを行っています。

「売る」という判断を後悔しないためには、焦らず、準備を重ねることが何より大切です。


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判断を補助するチェックリストとシミュレーション

「結局、自分のケースではどちらがいいんだろう?」
ここまでの情報を読んで、そう思われた方もいらっしゃるかもしれません。
この章では、“あなたにとっての最適解”を導き出すための判断チェックリストと、具体的なシミュレーションをご紹介します。

具体的に使える「売る/残す 判断チェックリスト」

以下のチェック項目に、✅が多くつく方が、ご自身の状況に合った選択肢のヒントになります。

✅売却を検討した方がよいケース

  • 将来的にも住む予定がない
  • 維持費や管理が大きな負担になっている
  • 相続人が複数いて、分け方に迷っている
  • 家が老朽化しており、修繕に費用がかかる
  • まとまった現金を必要としている
  • 感情的には寂しいが、現実を優先したいと思っている

✅維持(残す)を検討した方がよいケース

  • 自分や子どもが将来住む可能性がある
  • 家の立地がよく、賃貸や活用の余地がある
  • 家の状態がよく、管理がしやすい
  • 相続人間で維持の同意が取れている
  • 思い出や感情的な価値を強く感じている
  • 売却にはまだ気持ちの整理がついていない

どちらにも✅が多い場合は、専門家の意見を交えて中長期の視点で検討するのがおすすめです。

事例シミュレーション:3,000万円の家を売った/残した場合のケース比較表

実際に売却と維持、それぞれを選んだときにどうなるのか?
3,000万円相当の家を例に、比較してみましょう。

項目売却した場合維持した場合
得られる現金約2,850万円(仲介手数料など差引後)0円(現金化なし)
毎年の維持費なし約10〜20万円(固定資産税・管理費等)
管理の手間一時的(売却まで)継続的に必要
感情面思い出との区切りがつく思い出を保てるが負担も
将来の選択肢現金を柔軟に活用できる賃貸や住居利用などの可能性あり
相続人の調整現金化により分割しやすい管理や維持費分担が課題に

このように、どちらを選ぶかで“得られるもの”と“背負うもの”が大きく異なります
だからこそ、「今の気持ち」だけで決めずに、数字と将来性をふまえた“納得感のある判断”を大切にしてほしいのです。


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判断結果を支える実践的ステップと注意点

「売るか残すか、なんとなく方向性は見えてきた」
でも、実際に動き出すとなると、「どうやって進めたらいいか分からない」という声をよく耳にします。
ここでは、決断した後にスムーズに行動に移すためのステップと、注意すべきポイントを実務視点で解説します。

売却に進むなら:信頼できる不動産会社選びのポイント

不動産売却は、業者選びで結果が大きく変わる分野です。
特に親の家を売る場合は、地元の相場や買い手ニーズに詳しい会社を選ぶことが重要です。

✅ 信頼できる不動産会社の選び方

  • 地元に根ざしている(地域密着型)
  • 強引な営業をしない、丁寧に説明してくれる
  • 複数社に査定を依頼し、相場を見極める
  • 査定価格だけでなく、「なぜその価格なのか」の説明がある

また、媒介契約には「専属専任」「専任」「一般」の3種類があり、それぞれ特徴があります。
不安な場合は、まず「一般媒介」で複数社に依頼する方法も検討するとよいでしょう。

安心して任せられる担当者に出会えるかどうかが、スムーズな売却への第一歩です。

残す選択なら:定期点検や賃貸活用のあり方

維持を決めた場合でも、「ただ置いておくだけ」では劣化が進みます。
特に空き家状態が長く続くと、倒壊や火災リスク、近隣トラブルの原因になることも

✅ 維持のために必要な取り組み

  • 年に1〜2回の定期点検(雨漏り・通気・水回り確認など)
  • 庭木や草の手入れ
  • 必要に応じて防犯対策(センサーライト・通電など)

活用を視野に入れる場合は、賃貸・短期貸し・リフォームして貸すなどの方法があります。

とはいえ、空き家管理や賃貸経営にはノウハウが必要なので、地元の専門会社に管理を委託するのも一つの手です。
費用はかかりますが、「何かあった時にすぐ対応できる体制」が整っていると安心ですね。

家族の意見調整とトラブル回避のための配慮ポイント

意外と見落とされがちなのが、相続人同士の意見調整です。
親の家をどう扱うかで、「気持ちの違い」や「金銭的な価値観のズレ」が表面化することもあります。

✅ 家族で話し合うときのポイント

  • 最初から結論を押しつけず、「どうしたいか」を率直に聞く
  • 感情的にならず、事実ベースで整理する(費用・活用可能性など)
  • 話し合いの記録を残す(後のトラブル防止)

可能であれば、第三者(司法書士・行政書士・相続相談窓口など)を交えた場での話し合いも有効です。
誰か一人が負担や責任を背負いすぎないように、「全員が納得できる形」を目指しましょう。

「家族間のわだかまりを残さない」ことも、実は相続でとても大切な視点です。


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【まとめ】「売る or 残す」最適判断への道しるべ

ここまで、「親が住んでいた家を売るべきか、残すべきか」で迷う方に向けて、判断のための視点と具体的なステップをお伝えしてきました。
最後に、要点を振り返りながら、「自分なりの納得解」を導くためのヒントをまとめます。

判断軸の総まとめと一歩踏み出すための視点

✅ 判断に必要な主な軸は以下の3つです。

  • 経済的負担(維持費・税金・修繕費)
  • 将来的な活用可能性(居住・賃貸・資産価値)
  • 感情的・家族的な背景(思い出・合意形成・関係性)

これらを冷静に整理し、「今の自分」「これからの暮らし」にとってどちらが自然かを見極めることが大切です。

✅ もし迷いが残るなら、以下の行動をおすすめします。

  • チェックリストで現在地を確認する
  • 家族で一度話し合ってみる
  • 地元の専門家に相談してみる
  • 状況が落ち着くまで短期的に維持する方法も検討する

「売る」か「残す」か、どちらを選んでも、正解は一つではありません
大事なのは、今の自分にとって納得のいく選択をすること。そのために必要な材料を、この記事が少しでも提供できていたら嬉しく思います。

「なんとなく決める」のではなく、「自分の言葉で説明できる選択」を。
それが、これからの暮らしを安心して進めるための第一歩です。


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